ロシア最大の規模を誇る、ノボシビルスク国立劇場

ロシアバレエ留学

Sep. 24 2021


プリヴェット、みなさんこんにちは。いかがお過ごしですか?
今日のブログはノボシビルスク国立劇場、通称NOVATについてご紹介します。この劇場は私が学んでいたノボシビルスク国立バレエ学校の向かい側にあり、寮の窓からは劇場が見えます。近年劇場が改修工事されてからは、プロジェクションマッピングが搭載され、新年のカウントダウンでは花火とともに、華やかにライトアップされていました。
劇場の歴史は古く、第二次世界大戦の時代に建設されました。建築家メイエルホリドによって考案された展望、円形型のデザインはそれまでの劇場とは異なる革新的なものでした。劇場は1945年5月12日にオープンし、オペラ「イワン・スサーニン」が上演されました。戦時中、建設が中断された際はトレチアコーフスキー博物館や、プーシュキン美術館などの貯蔵品の保管場所として利用されました。開場から10年後の1955年にノボシビルスク国立劇場バレエ団はモスクワのボリショイ劇場に招待され、1957年には中国で最初のツアー公演が行われました。2年後には中国人の振付家によってノボシビルスク国立劇場のオリジナルバレエ作品が作られました。1960年から1970年にかけて、バレエ団は急速な成長をとげ、その名を世界に轟かせました。当時、アレーグ・ビノグラードフがバレエマスターとして、バレエ団を牽引し、ピョートル・グセーエフ、ワシリー・ワイノーネン、ユーリー・グリゴロービチなどの歴史に名を刻む秀逸した振付家たちの手によって数多くの傑作が生み出されていきました。そして、バレエ団からは数多くのスターダンサーが出現しました。
1990年代にはより活発に世界各国への客演が行われその地位を確固たるものとしました。客演による国際交流が作品作りにも大きく影響し、2003年に上演されたアリフレッド・シュニートゥケ作の「バカとジゼル」という作品はそれまでの劇場が歩んできた道を揺るがす新鋭的なものとなりました。後にドイツ各地で客演されています。2004年から2011年の間劇場の音楽監督としてテオドール・クレントゥジスが活躍し、2006年から2016年まで、イーゴリ・ゼレンスキーがバレエ団を指揮しました。2018年からウラジミール・ケイフマンが劇場の芸術監督を務めています。
 留学中に何度も劇場に足を運び、本場のロシアバレエを肌で感じることができたことはとても貴重な経験でした。なんといっても、チケットが安い席だと700円くらいなので、初めのうちは月に3回くらい観にいっていました。また、世界のスーパースターが劇場に客演しに来る機会もたくさんありボリショイバレエ団のスヴェトラーナ・ザハーロワや、エフゲーニャ・オブラフツォワ、ミハイロフスキーバレエ団のイワン・ワシーリエフ、モンテカルロバレエ団の公演などを生で観る機会にもめぐまれました。
ノボシビルスク国立劇場のバレエの公演はほぼ毎日あり、シーズンごとに様々な作品があります。ジゼル、白鳥などのバレエ・ブラン(白いバレエ)はやはり言うまでもなく美しく素晴らしいのですが、ペールギュントなどのオリジナルモダン作品も面白かったです。また、イタリア人の振付家によって作られたくるみ割り人形は、衣装にプラスチック素材が使われていたり、振付が斬新だったりと、クラッシックなロシアバレエとはまた違う新しい試みがなされていて、賛否両論だったそうです。個人的にはやはり、白鳥の湖や、ジゼルの生粋のロシアバレエ作品をぜひ観ていただきたいです。新作の公開リハーサルをバレエ学校の生徒として特別に見させていただく機会などもありました。  ちなみに、私のクラスメイトの何人かもこのバレエ団への就職が決まり、今シーズンから働いています。彼らが舞台で踊っている姿をぜひ観に行きたいです。皆さんもノボシビルスクに来られる機会があったら、ぜひ劇場に行ってみてくださいね。