東京五輪体操の代表選考大会の開会式で踊りました

ロシアバレエ留学

Oct. 24 2021


プリヴェット、皆さんこんにちは。いかがお過ごしですか。かなり寒くなってきましたね。ダウンやセーターを着られるのが個人的にはうれしいです。
今日はノボシビルスクで開催された、東京オリンピック体操競技選考会の開会式で踊らせて頂いた時のことをお話しようと思います。実際には現在ロシアは国としてのオリンピック出場は認められていません。理由は2014年ソチオリンピックでロシア人選手によるドーピングが発覚したためです。この事件後、ロシア人選手は国を代表しての出場は認められず、ORAという個人での出場資格が与えられています。そのため開会式や閉会式の時に国旗を掲げて横断することはできませんが、ロシアの予選会で選ばれた選手が出場するので、実質、国の代表として競技を行っていますし、国民が自国の選手を応援するという点では以前とあまり変わらないかもしれません。いつか国の代表としての出場が認められるといいなと思います。

開会式の映像はこちら
↑↑↑ 10:45くらいから登場します。が、その前の演出も面白くておすすめです。

今回私が出ることになったきっかけは、留学先の学校で日本語の通訳やサポートをしている方からお誘いいただいたことです。留学していた間大変お世話になった方で、普段は近くにある北海道シベリアセンターで日露交流に関わる様々な活動をされています。ここでは日本語のレッスンや、柔道、空手、生け花、茶道のレッスンなどが開催されていおり、今はコロナで中止されていますが、以前は北海道からお客様を招いてノボシビルスクの観光や日露交流を深めるツアーなども行われていました。
彼女の所に東京オリンピック代表選考会の関係者から、日本人の女の子を探していると連絡があったそうです。開会式のパレードの演出で日本のお姫様役が必要とのことで、日本の民族舞踊を披露してほしいとのことでした。日舞の経験は皆無だったため、盆踊りでも良いかと提案すると大会の演出を手掛けている人のイメージに合わないと却下されました。イメージに近い動画を送ってもらったのですが、その動画はがっつり日舞で曲はさくらさくらでした。日舞は足を内に向ける一方、バレエは足を外に向ける動作が基本であるため、15年にわたって鍛錬してきたバレエの動作が全く生かされない事態です。どうしたものかと途方に暮れましたが、とりあえず送られてきた動画を見よう見まねで覚えてリハーサルで披露したところそんな感じで大丈夫と言われました。日舞を知っている方からすればなんちゃってにも及ばない出来だったとは思いますが、とりあえず演出家のオーケーがでたので、良かったです。
開会式では日本の伝統や文化をテーマとしたパレードのような構成で、日本人は私だけでしたが、私の他にもヒップホップのダンサー達や、大きい筆で文字を描く姿を表現したアクロバティックのパフォーマーや、和服をイメージしたデザインの衣装を着て歩くモデルなどが参加していました。ロシアから見た日本というのもなかなか新鮮で面白かったです。普段はバレエ学校と寮での生活で缶詰だったので、違う場所でこのような出会いがあり色々お話できてありがたかったです。何度かリハーサルを重ねて本番は無事に成功させることが出来ました。

今回着物を着て踊ったのですが、もちろん持っていなかったので先ほどお話した北海道シベリアセンターからお借りしました。着物を自分で着ることができなかったので、センターの方が着付けしてくださいました。日本人である自分が着付け出来ず、ロシア人の方にお願いするというなんとも情けない状況でした(笑)。次お会いするまでには自分で着られるようにしたいです。
開会式の後、実際に選手の演技を見させて頂いたのですが、ロシアの体操競技は世界的にもトップレベルです。選手たちの演技には圧倒されました。尋常ではないムッキムキの腕や、鍛え上げられた身体で行われるパフォーマンスは迫力満点でした。
残念ながら東京五輪では無観客だったので、再会はなりませんでしたが体操競技にORAで出場したロシア人のチームが見事金メダルを獲得し、なんだか嬉しかったです。いつかロシアの国代表として出場できるようになることを願います。
それでは今日はこのあたりで、パカパカ。